具体美術資料委員会旧蔵資料, Gutai Art Association records（1937-1993, undated）

具体美術協会（1954-1972）は吉原治良をリーダーとして1954年（昭和29）に芦屋で結成された。吉原のもとに集まった美術家たちは、人の真似をしない作品制作を目指し、新しい描画技法や体を張ったパフォーマンス、野外や舞台といった場所での作品発表を試みた。1955年（昭和30）に初のグループ展である第1回具体美術展（具体展）を東京で開催、1956年の『芸術新潮』12月号誌上には、吉原治良の「具体美術宣言」が掲載されている。グループの先鋭的な活動は、ミシェル・タピエを介して海外に紹介され、世界的にも知られるものとなった。

本資料群は、特定の個人に特化したものではなく、具体美術協会としての活動記録といえ、主に事業契約や実施、出納に関わる事務文書（文書、手紙、リスト、計画書、会議録、契約書、請求書、領収書等）、グループ及びメンバーの作成物（展覧会のためのスケッチ、案内状、パンフレット、DM、出版物、出版物のための原稿、メモなど）、記録写真（アルバム、ネガ、カラーリバーサル、プリント）、メンバーの記事を集めたスクラップブックからなる。資料の作成年代域は1937-1993（作成年代不明資料を含む）。

これらは具体美術協会活動期においては、吉原治良の経営する吉原製油株式会社にて保管されていたものとみられる。グループ解散後は、有志の手により資料の大部分が大阪府民ギャラリーへ移され、出版物『具体美術の18年』関係文書（1976）など、解散後に作成された文書類が含まれることとなった。関連する資料群として吉原治良旧蔵資料（A021-S1）、吉田稔郎旧蔵資料（A021-S2）があり、これらはともに芦屋市へ寄託されていたことがある（1997-2011）。さらにその後、大阪大学に所収された（2011-2014）ことがわかっており、いずれにおいても整理のなされた形跡がある。大阪中之島美術館は、2015年（平成27）に、当時の資料管理者であった具体美術資料委員会（代表：高橋亨）より本資料群を受贈。本資料群は部分的に選別・整理されていたもので、原秩序は不明。過去に集合していた関連資料群との相互混入の可能性もある。